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本能寺の変、敵に回したくなかった「毛利」を懐柔した官兵衛の“変幻自在” [ぴんぼけ]

本能寺の変、敵に回したくなかった「毛利」を懐柔した官兵衛の“変幻自在”

2014.7.27 18:00 官兵衛
毛利側と和睦の交渉をする官兵衛(中央)。相手側の真意を見極めるため、傍らに側近(右)を置いた

毛利側と和睦の交渉をする官兵衛(中央)。相手側の真意を見極めるため、傍らに側近(右)を置いた

 大河ドラマも「本能寺の変」から「中国大返し」と動き、時代の主役が織田信長から羽柴秀吉へ代わろうとしていた。そんな中で秀吉の軍師、黒田官兵 衛は信長の仇・明智光秀をすぐにでも主に討たせようと、信長の死を悟られないまま毛利と早期講和をはかる。相手の性格を見抜きつつ、そこで見せる官兵衛の 交渉術の妙。これは現代社会にも役立つこと間違いなし。

官兵衛vs恵瓊

 備中高松城を舞台に毛利軍とにらみあう秀吉の陣所にいた官兵衛に、本能寺の知らせが入ったのは事件翌日の6月3日深夜。官兵衛は家臣の栗山善助だけに話すと、信長の死を毛利に知られないよう道路という道路をふさぐよう命じ、秀吉のもとへ走る。

 信長の死を聞き錯乱状態となる秀吉だったが、官兵衛が「殿のご運が開けたのですぞ」と励まし、誰よりも早く光秀を討つことが信長のため、天下のためと説得し、すっかりその気にさせてしまう。

 そこで毛利との早期和睦の交渉に入る官兵衛がその夜に呼び出したのが、毛利家の外交僧、安国寺恵瓊(えけい)だった。

 恵瓊が以前から秀吉の器量に一目を置き、「毛利と秀吉が手を組めば、天下統一も夢でない」と話していたのを聞いていた官兵衛はあえて、信長の死を暴露する。

 しかも、早期和睦の条件として信長が求めていた5国割譲を3国に減らし、毛利領8国の本領安堵(あんど)を認めるという、毛利側にとって至れり尽くせりの内容だった。

 「なぜ敵には絶対知られてはいけない情報を」。さすがに驚いた恵瓊。ここに官兵衛の賭けがあった。恵瓊とはこれまで戦場で何度も会い、人柄、考えまで知り尽くした間柄である。

 家訓からもともと毛利に天下取りの欲はなく、長引く戦乱の世を終わらせたいだけだろうと、恵瓊に率直に話して秀吉側の誠意を伝えたことで、秀吉と毛利による天下統一に現実味を持たせたかったのだろう。

 また恵瓊の方にも、毛利の中で信長の死を知る唯一の人物という優越感もあったかもしれない。ここから2人は秀吉と毛利をつなげるために動く。

 4日、信長の死を伏せた恵瓊から破格の条件の早急な和解案を聞いた毛利軍の参謀格、小早川隆景は不信感を持つ。言葉を濁す恵瓊だが、そこに善助を伴った官兵衛が、毛利の本陣・備中松山城に入る。

 秀吉側が講和条件のひとつとして示していた備中高松城主、清水宗治の切腹に毛利が難色を示したからである。城の水攻めで日増しに追い詰められるも、寝返ることなく毛利に忠義を尽くす宗治を見捨てることができないのだ

 ここに、交渉は行き詰まる。官兵衛が善助を伴ったのは困難な交渉で事の真偽を冷静に見極め、正確に判断できる第三者の目が必要だったからではないだろうか。

 交渉が難しければ難しいほど、当事者同士が近い距離で正面から顔をつきあわせることになる。こういう場合、話に夢中になるケースがほとんどで、そうなると相手の表情、細かい動作まで見る余裕がなくなる。

 このため、難しい交渉ほど、少し離れた所から事の次第を冷静に読み取れる第三者が必要になる。善助は黒田家の中で起きたトラブルを仲裁するなど、どちらにも偏らない性格は第三者に適役だ。

 企業の入社面接でも、ズラリと横一列に並んだ面接官のうち、面と向かって話す人よりも、少し斜めにいる人の方がより冷静に見ているのである。

 さて、交渉では信長が毛利全滅のため出陣したと切り出すと、このままでは両軍とも無益な犠牲者を出すことになるので、信長着陣を前に講和したいとたたみかける。

 一応、筋の入った話に隆景も兄、吉川元春の同意を得たいとしたが、「和睦すれば乱世は終わる」「宗治様も天下のために喜んで死ぬ…」という殺し文句に隆景は折れる。

隆景vs官兵衛(2)

 4日午前、両陣営が見守る中、宗治が切腹する。ここで講和は成立するが、その日の夕、隆景のもとに信長を討った光秀から援助を求める書状が届く。これで毛利本陣も信長の死を知ることとなった。

 これまで早急な講和に不信感を持ちながら官兵衛を信用して講和に同意しただけに、一杯食わされた格好となった。

 そこに、単身で小早川本陣にやってきた官兵衛が毛利の旗20本を求めたところで、隆景は「旗は毛利が織田に味方すると明智に見せかけるためなのか」と追及する。

 いきなり毛利の兵に囲まれた官兵衛だが、ここでひるむどころか、逆に隆景に顔を近づけるなり、「必ず秀吉様は天下をとる。ここで遺恨を残すよりも、恩を売る方が得策」と自信ありげに説得してしまう。

 毛利の軍師として、騙し騙されながら君臨してきた隆景だけに「あなたも私と同じ立場なら、同じようにしていたはず」と決死の覚悟で訴えてくる官兵衛の心情が十分に理解できたのだろう。やや表情を崩しながら、官兵衛にすぐに備前を立ち去ることを告げ、旗を渡す。

 その後、毛利の武闘派は秀吉追撃を主張する元春らに対し、隆景は和睦のために切腹した宗治の遺志を無駄にすることはできないと反論。元春も言い返せなかった。毛利との交渉は官兵衛の勝利に終わった。

 最初の恵瓊にはすべてをさらけ出して交渉のとっかかりを作り、軍師として同じ立場の隆景との交渉では騙すも、バレると誠意と熱意でぶつかっていくしぶとさ。しかも、いざという時の殺し文句…。ここに軍師の醍醐味がある。

(園田和洋)

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以上だ税。

固論歩

 

 

 


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