壇蜜のもっとハァハァしてる? [ぴんぼけ]
現実世界で怖いものといえば… 霊、あやかし「不気味さ」薄れ
★其ノ百弐拾壱
2015.10.02
私も“悪いムシ”は退治いたします【拡大】
お盆が終わり、彼岸も過ぎ去って、「あの世」関連の行事とも少し距離ができたかなと感じています。
しかし、テレビをつければ、お化けや妖怪と人間の子供が友達になる…というアニメがはやっているようで、すっかりかわいらしく抽象化された異界の者たちの姿が目立ちます。距離ができたのは、大人の私だけだったのでしょうか。
人間以外の何かと交流するストーリーは、夢があって好奇心をくすぐられますが、霊やあやかしのたぐいの持つ独特の「不気味さ」は薄れているような気がします。
私が小さい頃は、よく「夜更かしするとお化けがでるよ」「悪い子は妖怪がさらいにくるよ」などと言われ、恐怖から逃れるためにさっさと寝たりいい子にしなきゃと改心したりしておりました。
しかし、今もしも「お化けがくるよ」なんて、子供に言おうものなら、「え! お化けに会えるの? うれしい! 会いたい!」とはしゃがれてしまいそう…、恐るべしブームです。
子供にとって、怖いもの、見ただけでは理解できないものが側にあったほうが、それらから守ってあげられる存在として「親の威厳」が保たれるような気がするのは、昭和生まれの意見ですね。
では、現実の世界で怖いものといえば…、私にはあります。ネズミ。これが自分の家にいると思うだけで大変恐ろしい。
数年前、近所で問題となり、実家にも現れたのです。屋根裏や天井からカタカタと彼らが移動している音を聞くと、「霊の仕業で天井がカタカタいうほうがまだましだ」と思うくらい恐怖でした。
大勢で占拠された後、あれこれかじられて、排泄(はいせつ)物を巻き散らかされる。しかも、捕らえてもものすごい抵抗をしそうなので、勝てる気がしないのです。プロの除去部隊がいらっしゃるまではただ怖いだけでした。
しかし、わが家は比較的被害が少ないほうでした。家によって被害の程度が違うのは、犬猫を飼っているかどうかが理由だったようです。ネズミは動物のいる家を嫌うことが分かりました。老いて、虫にも動揺するわが家の犬猫ですが、その存在に感謝したことはいうまでもありません。
「犬猫の排泄物は最高のネズミよけ」。当時のネズミ騒動で得た、尊い知識でした。
■壇蜜(だん・みつ) 1980年12月3日生まれ、秋田県横手市出身。本名・齋藤支靜加。158センチ、B85・W60・H89。昭和女子大卒。NHKEテレ「テレビで中国語」(火曜午後11時)、BS日テレ「久米書店~ヨクわかる!話題の一冊」(日曜午後6時)にレギュラー出演中。NHK総合「放送90年ドラマ 経世済民の男 高橋是清」では芸者。桝吉を好演。エッセー集「壇蜜日記2」(文春文庫)が発売中。